動機が善で私心がなければ、必ず成功する
「動機善なりや、私心なかりしか」、この言葉は京セラ創業者の稲盛和夫氏が第二電電(現KDDI(au))を立ち上げる際、半年間にわたって毎日自分に問い続けたとう言葉。
ここで言う「動機が善」とは、「自分の利益や都合、格好・世間体といったものではなく、誰から見ても普遍的に善きことであり、自他ともにその動機が受けいれられるものでなければならない」。
第二電電の創業
巨大な国営企業「電電公社」が一社独占状態だったため、日本の通信料金(電話代)は諸外国と比べとても高いものだった。
稲盛氏が出張先の東京から京都の本社へ公衆電話(昔の赤電話)でかけるとき、10円玉を何十枚も用意しておき、それが数秒後とにボンボン落ちていった。
電電公社が民営化されNTTとなるとき、それに伴い新規参入が認められることになり、「これで競争原理が働き、通信料金も安くなる」と思っていたが、巨大企業電電公社に立ち向かう名乗りを上げる企業は表れなかった。
「ならば自ら通信会社を立ち上げるしかない」と思い立った稲盛氏だが、そこでこの「動機善なりや、私心なかりしか」を自らへの問いかけ続け、「国民のために通信料金を下げたい、その純粋な想いに一点の曇りもない」と確信し、参入に至った。
その後、別の2社も参入したが、この2社は既にある新幹線、または高速道路沿いに光ファイバーを引けば簡単に立ち上げられる、という動機(利益目的)だったため、最も不利だと言われた第二電電がシェアトップを走り、今現在KDDI(au)として唯一残っている。
日本航空の再生
同じく稲盛氏が2010年に破綻した日本航空(JAL)の会長として就任する際も、私心ではなく「3つの大義」で受ける決意をしたと言う。
当時のJALは誰が再建にあたっても二次破綻は必至と言われていた。
3つの大義、一つ目は「JALが二次破綻すれば日本経済へさらなる悪影響をおよぼす。何としてもこれを食い止めなければならない」。
二つ目は「残されたJALグループ社員の雇用を守らなければならない」。
そして三つ目が「JALが二次破綻すれば日本の大手航空会社はANA1社だけになってしまう。適正な競争原理が働かずサービスが低下し、運賃も高止まりする。これを防ぎ国民の利便性を確保する」というもの。
公明正大なこの3つの大義のおかげでJALはあのような見事なV字回復で再生できた、と言わる。
天が味方したくなるような生き方
誰だったか忘れてしまったが、どなたか著名な方の言葉で「天が味方したくなるような生き方を」というものがあった。
自分さえ良ければといった利己的な考えではなく、世のため人のためにと、思わず天が味方してくれるような、、そんな生き方をすべし、と。
自分のためではなく、会社のためでもない、世のため人のために、利他の心で判断する。
何か判断に迷ったとき、この言葉を思い出していきたい。