一連の騒動から感じる「経営者覚悟」とは
闇営業問題に端を発した吉本興業の話題が世間を騒がせている。
この一連の流れ、実に興味深く見ているのだが、ざっと経緯を整理しておこう。
※あくまでも大雑把に私が見聞きしているレベルでの記載です。詳細なレベルでの表現の違いや、事実と異なることもあるかも知れませんがご了承ください。
・所属芸人による会社を通さない闇営業が発覚。(問題1)
さらにその営業先が詐欺グループだったことから、単なる社内問題から社会問題的に扱われる。(問題2)
・仲介役の芸人Aは解雇。他の参加芸人は「ギャラはもらっていない」とウソの説明。(問題3)
・数百万円規模でお金のやり取りがあったとの新証言。
・この証言を受け、会社側はリーダー的存在の芸人Bを解雇すると発表。(問題4)
・会社側は当該芸人の会見を開く予定なし。(問題5)
・そのため当該芸人二人が会社を通さず独断で会見を開き、会社からパワハラ的言動があったこと、希望した会見を開いてもらえなかったこと、契約書などは存在しないこと、、などなどを涙ながらに訴える。(問題6)
・この会見が世間の共感を呼ぶことになり、この時点で「吉本=悪者、芸人=被害者」みたいな図式に。(問題7)
・翌日 社長が緊急会見を開くが、要領を得ない言い訳的会見で 180度立場が逆転。(問題8)
その会見の中で、一旦解雇すると発表した芸人Bに「可能であれば もう一度戻ってもらえないか」的発言あり。(問題9)
「物事をシンプルにとらえる」
私の経営の師匠の言葉に「物事をシンプルにとらえる」というものがある。
ゴチャゴチャに複雑化した事象も、一つひとつ紐解いていくと それぞれは意外とシンプルだったりする。
分かりやすい例に例えると、画像編集ソフトのPhotoshop(フォトショップ)に「レイヤー」とうい機能がある。
透明な下敷きのようなものに、例えば背景/建物/人物A/人物B/車…などを それぞれ別レイヤーに書いていく。
全てのレイヤーを重ねると一つの「シーン」になる。
吉本騒動でも、各「問題○」を一つひとつのレイヤーとして考えると分かりやすい。
全てのレイヤーを重ねて、糸がこんがらかったような状態を上から見て、「どれが悪い?」と考えるところに過ちがある。
一つひとつのレーヤーに分けて「反社会組織に対する闇営業問題には、断固として厳しい処分を行う」。ただし、「会社側のパワハラと思わせるような言動等については 真摯に謝罪する」と、明確に分けて考えるべきだったハズだ。
それを一緒くたに見てしまったから、自分(会社)の落ち度に萎縮してしまったのか。。
または、探られては困るような(まだ明るみになっていないような)ブラックな部分が根深くあり、毅然とした態度を取ることができなかったのか??
あくまでも可能性として、、だが、いろいろ勘ぐってしまう。。
企業経営は「公明正大」でなければならない
はたして件の企業の実態はどうなのかは分からないのでさておき、つくづく感じるのは 企業経営は「公明正大」でなければならない、ということ。
先の経営の師匠も「公明正大に、ガラス張りの経営を」と口を酸っぱくして言われている。
何か起きたときに公明正大でなければ(少しでも後ろめたいことがあれば)、毅然とした態度を取れなくなってしまう。
自らを厳しく律していなければ、人に厳しさを要求することはできない。
経営者は自ら腹を切る覚悟が必要
もう一つ、今回の件では社員(契約書は交わしていないが あえて社員と表現する)を解雇した。また芸人Bに対しても解雇(または契約解除)を示唆した。
クビにする選択をした。つまり刀を抜いて一人のクビを切り、もう一人も抜いた刀で斬りかかったのだ。
社長は社員を切れる(現実的には簡単には切れないのだが、ここではあえて切れるものとする)、が 社員は社長を切ることはできない。
なので、経営者は一度 その刀を抜いてしまったのであれば、自らの不祥事・会社の不祥事に際しては その刀で自らの腹を切る覚悟が必要だ。
そのくらいの覚悟がなければ 刀は安易に抜くべきではない。
今回の吉本騒動は まだ終息の気配を見せてはいないし、これからまた別の方向へと動いていく感もある。
どんな方向へ向かうにせよ、トップが自ら腹を切らない限り収まらないだろうし、将来的な会社の発展も望めないのではなかろうか。。