新・経営の神様と言われる稲盛氏の伝記
本書「思い邪なし 京セラ創業者 稲盛和夫」は、552ページにも及ぶ辞書のような分厚い書籍で、読み応えのある一冊である。
松下幸之助氏の「経営の神様」に対し、「新・経営の神様」などと一部で言われているが、、
昭和の経営の神様が松下幸之助氏なら、稲盛和夫氏は 間違いなく「平成の経営の神様」であろう。
おそらく、これから幕を開ける令和の時代に、伝説として語り継がれていくに違いない。
実に深く取材を重ねた筆者に敬意を表する
私は盛和塾の塾生でもあり、塾長であり師匠でもある稲盛氏に関する書籍は ほぼほぼ読んでいるつもりであるが、本書は 学生時代の友人、京セラ社員を始め 稲盛氏の兄弟に至るまで幅広く取材しており、今まで知っていた出来事の裏にある背景なども含め興味深く描かれている。
著者である北康利氏の取材力には 敬意を表するしかない。
根底に流れる「世のため 人のため」「利他」の精神
生前の稲盛家から始まり、子供時代、学生時代、最初に就職した松風工業。
そして実業家として経営に携わった 京セラ、第二電電(後のKDDI)、日本航空(JAL)の再生。
その他、円福寺での得度、京都賞の稲盛財団設立、盛和塾、、などなど。。
その時々のキーマンに語られる生き様は「世のため 人のため」という「利他」の精神が一切ブレることなく、氏の功績が余すところなく詳細に綴られている。
「成功も 試練」と説き、謙虚にひたむきに取り組む姿勢には、読んでいて涙があふれてくる。
新・経営の神様 稲盛和夫氏の伝記として、秘蔵の一冊としたい。