東京オリンピックまでの柔道全日本男子強化監督としての歩み
東京オリンピック 柔道全日本男子強化監督 井上康生氏の「初心 ~時代を生き抜くための調整術~」を読んだ。
井上先生が理事長を務める特定非営利活動法人JUDOsサイトのお手伝いをさせていただいているご縁もあり、献本いただいた。
柔道という格闘技は、強い者、技術力(技)のより優れた者が勝つ競技だと思っていたが、それだけではなく 多くの人が携わる「組織」としてバックアップ・サポートがいかに重要か、そして近代柔道で金メダルをとるために メンタル=精神力や、科学的分析など総力を挙げて取り組んでいることに驚かされた。
例えば 今回の東京オリンピックでは、「審判が『指導』を出すタイミングが遅い傾向がある」と、大会前から事前分析で報告が上がってきていた。
そうであれば、指導を恐れて技を掛け急ぐ必要はなく、じっくり構え時間を有効に使いながら自分のタイミングで試合を運ぶことができる。
実際、東京オリンピックでは その分析通りであったという。
コロナ禍での異例の開催
また今回の東京オリンピックは、コロナによる前代未聞の1年延期、そして開催の賛否もある中での無観客での開催など、選手はもとよりスタッフも不安と試行錯誤の中で、苦労しながら本番を迎え、男子7階級中 実に5階級で金メダルという輝かしい成績を収めたのか、裏話なども豊富に語られている。
そして監督=リーダーとして、どのように考え、どのように伝え、どのように進めてきたのか、、単に一スポーツのリーダーとしてだけではなく、我々経営者も含め全てのリーダーにとって多くの示唆を含む内容が満載であった。
井上先生のお人柄を偲ばせる逸話が多々あり、やはり「人徳」なくしてリーダーは務まらない、ということを痛感させられた。