食べログ事件に見る、双方の「権利」
「隠れ家のような雰囲気」を売りにしていたバーが、「食べログ」にクチコミ投稿された情報削除を巡って訴えた裁判で判決が出た。
「秘密の隠れ家」をコンセプトにしたバーの店舗情報がグルメ情報サイト「食べログ」に掲載され、削除要請にも応じなかったのは不当だとして、バーを経営する大阪市内の会社がサイト運営会社「カカクコム」(東京)に掲載情報の削除と330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、大阪地裁であり、佐藤哲治裁判長は「違法性は認められない」として原告側の請求を棄却した。
※産経新聞記事:隠れ家バーの「食べログ」削除要求を棄却
※食べログ事件については「食べログ掲載は「営業妨害」か「表現の自由」か…異例の法廷闘争」に詳しく記載されている。
誰もが情報発信できる時代。双方の「権利」が交錯
今の時代、SNSなど誰でも簡単に情報発信できる。
また、食べログに限らず あらゆるサービスで「クチコミ」が広がっている。
ワタシもオンライン通販で買い物することが多いですが、そのときクチコミはとても参考にします。
が、今回のように「意図しない書き込み」は はたして認めてよいのだろうか?
こういう件があると、決まってでてくるフレーズが「報道の自由」「表現の自由」。
今回は いわゆる「報道」ではないが、媒体を使って特定の情報を掲載する、という行為において 広い意味で報道の範疇ととらえても良いだろう。
判決では「原告側が自らホームページで店名、所在地、電話番号、店内写真などを公開していると指摘。」とあるが、自身のホームページと巨大メディア「食べログ」では、アクセス数からして全く違う。
小さなバーのサイトでは、ある程度絞り込んで検索して来ない限り そのサイトにはあまりたどり着かないだろうが、食べログの場合は他の飲食店情報と一緒に露出度は比較にならないくらい多いと思う。
誹謗中傷は削除されるケースも多くなってきたが
誹謗中傷であれば比較的削除されやすい状況にはなってきたようだが。。
それにしても、裁判所に訴えを起こさなければ削除してもらえない、というのもあまりにも手間がかかる。
食べログと言えば業者による「やらせ」投稿が発覚して問題になったこともある。
「マイナス意見だから削除する」というのは反対だが、今回のような意図しない書き込みには もっと柔軟な対応があっても良いのでは? と思う。
「公開されたくない権利」というのも もっと尊重されてしかるべき、と。